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とんこつ親方

2006年02月13日

着信あり

金曜の夜。仕事に追われた一週間をなんとか無事終えた解放感からか、地元の駅に着いた途端急に飲みたくなり、珍しく某チェーンの居酒屋にて独り酒。
そういえばかつて某音楽プロダクションで社会人一年生やってた時は良く仕事帰りに一人で飲みに行ってたっけ。当時よく行っていたその店の階段をのぼりながらふと思う。

夕食もまだだし、本でも読みながらゆっくり飲もうと思いつつ店内へ。さすがに金曜の夜、かなり混んでるので案内されたカウンターに座ったのだが・・

周囲は全て!! カップル! カップル! カップル!

・・お前らよぅ、金曜の夜のデートならも少しいい店行けや(-_-メ)

か〜なりいづらい雰囲気だったので仕方ねぇ早々に食べて出ようかと一気にオーダーをすませ、一息つくと、右隣から耳障りな男の声が聞こえてくる。

「だからさ、俺の優しさってすごいわけ!もうね、ハンパないから! すごいんだって、ぶっちゃけ! ぶーっちゃけ! 俺のキャパシティはさ! 世界で一番広いから! 何でも受け止められるから!」

・・え(汗)?

見ると同年代より少し上くらい?とおぼしき眼鏡の冴えない中年サラリーマンがやや派出目のお姉さん相手に目を血走らせて力説している。

「××ちゃんもさ、びっくりするよマジで!すーごいんだからほんと!俺は!」

・・・・。

吐き気がした。

何せ声がでかい。左隣のカップルの方が近いのにそっちの会話なんか全然聞こえないくらい店内はうるさいのに。よく頭痛がするっていうけど、人の話を聞いててほんとに頭が痛くなってきたのは初めてだ(汗)

もう席をたちたかったが全て注文してしまった。仕方なくとりあえずビールに口をつけるもまったく美味しくない。その間もマシンガンのようにトークは続く。

「優しさっていうのはさ!普通のやつの場合は×××・・でも俺の優しさって×××」

聞きたくないのだがどうしても流れ込んできてしまう。延々と続く「俺自慢」。。やめてくれ、頭がおかしくなりそうだ。

なんだか状況はさっぱりわかんないが、どうやらこの男はおねえさんにほれているようだ。ほれているがとりあえずなんか男関係の相談にのっているかなんかで、つまり、話題をすり替えつつ遠回しにアピールしているつもりみたいなんである。

・・・。

去年の今頃の俺って、、

もしかしてハタから見てたらこんな感じだったりしたんだろうか。

唐突に不安になる。当時は・・本当に大好きな子がいて、でもその子は元彼を引きずっていて。よく飲みに行って、悩みを聞いたり。。なんとか笑顔に、元気になって欲しくて、考えて考えていつもいつも一生懸命しゃべってた。優しさってなんだろう、どうしたら届くんだろうって思いながら。

けど、、「君のため」っていいながら、でもやっぱり自分に振り向いて欲しくて、もしかしたらこんな風に、押し付けがましい優しさのイミテーションを振り回してたのかもしれない。

・・吐き気がした。

いよいよ耐えかねてまだ出てない料理のキャンセルを申し出るも、催促と勘違いした店員さんは「す、すいません!すぐお持ちしますんで!」と厨房にかけこんでしまった。おいおい、すいません・・。

料理をつくってもらった以上、残して帰るなんてことはできないので、砂を噛むような思いで食べる・・。その間男は「優しさアピールタイム」を終え「自分史語りモード」に入っている。頭が痛い。飲む。酔えない。飲む。ちっとも酔えない。飲む。おかわり。

拷問のような独り飲みを終え、お勘定。

・・予想の1.5倍くらいのお値段に驚く。苛々してるうちに飲み過ぎたようだ。・・なんだってんだ!! 返せ!! 俺の色々なものを!!

街に出るとまだ早い時間なので駅前は家路を急ぐ人々でにぎわっている。行き交う人の波の中、ぼうっ・・とした頭で歩いていると、たまらなく寂しくなる。

家についた途端、急に酔いがまわってきた。実は結構やっぱり飲んでたんだなぁ。

早々にベッドに入ると、酔いがまわり濁った頭でしばし考える。・・君は今何をしているだろうか。ほんの少しでも、役に立てていただろうか。あんな風に、押しつけじゃなくて。。俺は、、

・・・。

やがて思考は途切れ、深い眠りに落ちて行った。

翌日の昼過ぎ、ようやく目を覚ますと、携帯に珍しく着信マークが。あぁ、そういえば着信音切ったままにしてたなぁ・・と思いながら履歴を開いてみて動きがとまった。

およそ半年ぶりの、あの子からの電話。

どうして?・・なんでよりによってこんな日に?

一気に脱力感が広がる。

正直今は、ただなんとなく「元気??」って電話をもらえるような関係じゃなくなってしまってるから、、きっと何か自分では処理できない、辛いことや困ったことがあって電話してきたんだろう。気づいていれば、話せてさえいれば、何かほんの少しでも力になれたかもしれないのに・・。

急いでメールするも返信はなし。

「その時」その瞬間に応えなければ意味がなかったのかもしれない。

幸か不幸かやる事は山積みで、淡々とこなしているうちに日曜の夜がきた。傍らには鳴らない電話。・・もう何も望んではいない。ただ、本当に困った時に少しでも力になれれば、それで良かったのに。

どうしてこんなに、間が悪いんだろう。

ただ、悲しい。

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Posted by とんこつ親方 at 03:45│Comments(0)日常
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